「ジョハリの窓」に基づく自己認識力の向上
ゼネラル・エレクトリック社の最高経営責任者を務め、20世紀最高の経営者と謳われたジャック・ウェルチ氏は、「なぜあなたが、20世紀最高の経営者といわれるようになったのか」という質問に対してたった一言、「自己認識力」の高さと答えている。
ジャック・ウェルチ氏へのインタビューから30年後、スタンフォード大学の評議委員75名に「リーダーとなるうえで最も必要な資質は何か」という質問を投げかけたところ、75名全員が「自己認識(=Self Awareness)」と答えたそうだ。
いまや、ビジネスパーソンが成果を上げるための鍵として、「自己認識」の能力は欠かすことができない。今回は自己認識能力を高める手法として「ジョハリの窓」という考え方を紹介したい。
「ジョハリの窓」というのは心理学におけるモデルのひとつであり、自己認識をすすめるとともに、他者とのコミュニケーションを円滑にすすめるためのツールとして用いられる。
「ジョハリの窓」によると、自己に対する理解は4つの象限、「窓」に分類できる。
Ⅰ. 開放の窓(自分も他人も認識しているもの)
Ⅱ. 盲点の窓(自分は気が付いていないが他人からは認識されているもの)
Ⅲ. 秘密の窓(自分は認識しているが他人はそうでないもの)
Ⅳ. 未知の窓(自分も他人も認識していないもの)
「自己認識」の能力を上げるためには、「開放の窓」の領域を広げていく必要がある。そうすることで自己成長を促すとともに、言動の一貫性がみられ、他者からの信頼の獲得にもつながる。
具体的な行動としては、日記をつけたり、日々の生活において内省する時間をとったりといったところか。映画や読書を通じて、想像上の人物と比較することで、自分という存在がみえるところもあるのかもしれない。
加えて、有効なのが「盲点の窓」を生かした方法だ。日々の仕事をする上で、同僚や上司からのフィードバックは、自分がまだ知らない自己と出会うきっかけとなる。
同時に「盲点の窓」に基づくフィードバックは、する側も注意が必要だ。本当の愛情にはヒリヒリした感触がつきものである。忖度や妥協なく、多少厳しいフィードバックとなってでも、それは真に相手のためを願ったものであるべきだ。
ひとまず自分でできることとして、私も日記をつける習慣を体得したいものだ。